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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.043 妊婦さんに必要な栄養素

No.043 妊婦さんに必要な栄養素


妊婦さんには「葉酸」が必要であることは良く知られていますが、葉酸以外にも重要な栄養素があります。

母体への栄養アプローチの必要性

容易に想像できることではありますが、妊娠中の栄養補給は胎児に大きな影響を与えます。

実際、母体内で十分な栄養をもらって産まれてきた場合とそうでない場合において、身体的、精神的に差があることが知られています。
また、早産児は正期産児に比べ、学習能力が平均より劣っていたり、注意欠陥や多動性障害が多いことも報告され、これらの原因の一つに、胎児肝臓内への栄養素の蓄積不足(主に鉄、亜鉛)が疑われています。

妊娠中の体の変化

妊娠中は、胎児を育むためにダイナミックな生理学的変化が生じます。
例えば、妊娠中は胎児に酸素を運ぶため血液量は約1.5倍に増えると言われます。そのため、ヘモグロビンが相対的に減少し、血清タンパク濃度や 水溶性ビタミン濃度の低下がみられるため、水溶性ビタミンが全体的に不足し、貧血になりやすい状態です。     
さらに、消化器においては、子宮筋が弛緩して胎児が成長しやすくなる一方、胃腸の運動性が低下し、水分の再吸収が増大するため便秘になり易くなるなど、妊娠初期の体調不良には、ビタミン・ミネラルの不足も大きく影響しています。

妊娠中に特に重要な栄養素

妊娠中に特に重要になる栄養素には、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなどがあります。

葉酸

アメリカでは、以前から妊娠期の葉酸欠乏で神経管欠損症(NTD)や先天奇形の罹患率が高まり、葉酸の補給によってリスクが下がることが知られていました。

日本でも、平成12年に厚生省(当時)が「食品からの葉酸摂取に加えていわゆる栄養補助食品から1日0.4㎎(400μg)の葉酸を摂取すれば、神経管閉鎖障害の発症リスクが、集団としてみた場合に低減することが期待できる」ことを都道府県、医師会、薬剤師会等に通知して以来、消費者にも認知されるようになってきました。

葉酸は、細胞の分裂や成長に欠かせず、胎児においては、脳の発育を助けたり、神経を作る働きがあります。胎児の脳は妊娠6週目くらいまでには完成しますが、この頃は、まだ妊娠に気が付かないことも多いので、妊娠前の準備段階から葉酸を補給しておく必要があります。

亜鉛

亜鉛は体内で作用する300種類以上の酵素に含有され、遺伝子発現、タンパク質合成など多くの生体の反応に関わっています。胎児は毎日細胞分裂を繰り返していますが、亜鉛はこの細胞分裂を促すことが分かっており、母体に亜鉛が足りない状態では、低身長、低体重などのリスクが出てきます。
また、亜鉛は産まれた後にも重要で、初乳には多くの亜鉛が含まれ、免疫力の維持にも  大きな役割を果たしています。
厚生労働省の設定する亜鉛の推奨量も、妊婦の付加量が+1mgであるのに対し、授乳婦では+3mgとなっています。

妊娠中は、母体だけではなく胎児にも酸素を送ることになるため、赤血球による酸素運搬の働きが大切になり、妊娠期の赤血球量は20~30%増大すると言われています。
さらに、貧血状態では酸素の運搬能の低下以外にも、イライラ、うつ、立ちくらみ、頭痛、肩こりなどの不快症状が現れるので、鉄は快適なマタニティライフには重要なミネラルです。
厚生労働省の摂取基準では、妊娠初期では+2.5mg、妊娠中期では+15㎎、授乳中では、+2.5mgの付加量となっています。

カルシウム、マグネシウム

妊娠期には、ホルモンの分泌が通常と異なるため、妊婦のカルシウム代謝に大きな影響を与えます。
具体的には、胎児の骨を作るために母体のカルシウム量が減少し、骨粗鬆症になりやすくなります。
また、カルシウムの吸収には、マグネシウムも必須なため、カルシウムを摂る場合には、マグネシウムも意識してください。その比率は、Ca:Mgが、2:1と言われています。

その他

ビタミンB群では、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12 が赤血球の形成に必要です。
また、つわりなどの予防にはビタミンB6が役立ちます。

魚油に含まれるDHA、EPAを摂った妊婦から産まれた子ども(4歳児)のIQが、コーン油を摂っていた妊婦の子供に比べて有意に高かったとの報告や、葉酸の血中濃度が高い母親から産まれた子供は、認識力が高かったとの報告もあります。
 
(参考)
治療 Vol.85 No.11 :南山堂
食品栄養食事療法事典:産調出版
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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