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No.070 「あぶら」について


オメガ3系脂肪酸、亜麻仁油、EPA、DHAなど、サプリメントの原料や添加物にも油脂や脂肪酸は多く使われています。
今回は、そんな「あぶら(油脂、脂肪酸)」についてご紹介します。

油脂の大切な働き

「あぶら」には、常温で液体の油(大豆油、コーン油など)と固体の脂(肉の脂身やラードなど)があり、これをまとめて「油脂:ゆし」と呼んでいます。

私たちはエネルギー源として、また細胞膜を構成する成分として食品から油脂を摂っています。
さらに油脂には脂溶性のビタミンやカロテノイドなど油脂に溶けやすい栄養成分と一緒に摂取することで、これらの栄養成分の体内への吸収を良くする働きもあります。

そもそも「油脂」や「脂肪酸」って何?

グリセリン

油脂の主要成分は「グリセリン」という、炭素原子が3つのアルコールに「脂肪酸」と総称される複数の炭素原子の鎖状構造を持つカルボン酸が結合したもの(グリセリド)で、とりわけグリセリンに3つの脂肪酸が結合した「トリグリセリド(トリアシルグリセロール)」が多くを占めています。

脂肪酸には多くの種類があるため、グリセリンに結合した3つの脂肪酸の種類や組み合わせにより、多種多様なトリグリセリドがあります。

これら、油脂や脂肪酸、グリセリン、コレステロールなどを合わせて「脂質」と呼んでいます。

脂肪酸とは…

脂肪酸は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成され、炭素原子が鎖状につながった一方の端にカルボキシル基(-COOH)が付く構造をしています。

脂肪酸には、炭素数や炭素同士のつながり方などの違いにより様々な種類があります。

脂肪酸の中でも、リノール酸やα-リノレン酸などは生命の維持に不可欠であるにも関わらず、体内で作ることができないため「必須脂肪酸」と呼ばれています。

また、脂肪酸は構造の違いにより2種類に分けられます。
炭素と炭素の間に二重結合が全くない脂肪酸(例:パルミチン酸、ステアリン酸など)を「飽和脂肪酸」、二重結合がある脂肪酸を「不飽和脂肪酸」といいます。

さらに、不飽和脂肪酸のうち、炭素間の二重結合が一つのもの(例:オレイン酸など)を「一価不飽和脂肪酸」、2つ以上あるもの(例:α-リノレン酸、リノール酸、EPA、DHAなど)を「多価不飽和脂肪酸:polyunsaturated fatty acid:PUFA」といい、炭素間の二重結合の位置によってさらに細かく分類(オメガ3、6、9)されています。

脂肪酸の機能

体内では、オメガ3系脂肪酸からオメガ6系脂肪酸を作ったり、また、その反対もできません。
そのため両者は摂取バランスが大切で、この乱れがアレルギー反応やアトピー症状を悪化させる原因ともいわれています。

脂肪酸は生理活性物質(体の生理的調節機能に対して作用する物質)の材料になりますが、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸では作られる生理活性物質が異なり、オメガ6系脂肪酸から作られる生理活性物質が多すぎると、免疫反応を激しくする他、心血管系の病気を増やしたり、発がん性のリスクを高めるともいわれています。

一方、オメガ3系脂肪酸のEPAからは炎症やアレルギーを抑制する生理活性物質が生成されます。

オメガ3系脂肪酸を多く含む食材は限られている(亜麻仁油、シソ油、青魚等)ため、食事だけで十分な量を摂取するのは難しく、サプリメントや、医薬品(EPA・DHA製剤 等)を活用するのもお勧めです。

多価不飽和脂肪酸(PUFA)とは

多価不飽和脂肪酸は二重結合の場所で、オメガ3系、6系、9系の脂肪酸に分けられます。

多価不飽和脂肪酸は、複数の二重結合を持つことから酸化・劣化しやすく、サプリメントに加工する際にも酸化防止の工夫は欠かせません。

オメガ3系脂肪酸は、n-3系脂肪酸とも言います。
n-3とは脂肪酸のメチル端末から3個目の炭素に二重結合がある脂肪酸の事で、n-6は6個目、n-9は9個目に二重結合がある脂肪酸の事です。

オメガ3系脂肪酸(n-3系脂肪酸)

オメガ3系脂肪酸には、亜麻仁油やシソ油に多く含まれるα-リノレン酸、魚類に多く含まれるEPAやDHAなどがあり、生活習慣病の予防に役立つ様々な働きとして、中性脂肪の低下、不整脈の発生防止、血管内皮細胞の機能改善、抗血栓作用、アトピーやアレルギー症状の改善などが期待されています。

なかでも、最近、EPAやDHAを摂取することで心筋梗塞になるリスクが減ることがわかってきたことから、厚生労働省でも1日1g以上摂ることを推奨しています。

日本人が摂取するオメガ3系脂肪酸のうちの約60%がα-リノレン酸と言われており、体内に入ったα-リノレン酸は一部がEPAやDHAに変換されるとされていますが、その変換量はわずかと言われています。
そのため、EPAやDHAの効果を期待する場合には、魚油などからEPA、DHAの形で摂取する方が効果的です。

オメガ6系脂肪酸(n-6系脂肪酸)

オメガ6系脂肪酸には、リノール酸やγ-リノレン酸、アラキドン酸などがあり、日本人が摂取するオメガ6系脂肪酸の多くはリノール酸(大豆油、コーン油、サフラワー油等)やアラキドン酸(肉、卵等)です。

一般的に、現代の食生活ではオメガ6系脂肪酸の摂取が増えており、特にリノール酸の過剰摂取により、血清コレステロールとともにHDLコレステロールも同時に下げてしまうことや、代謝産物のアラキドン酸を増加させて炎症性の生理活性物質を増やし、アレルギー反応を悪化させること、過酸化脂質を増加させることなどが懸念されています。

そのため、最近では、オメガ6系脂肪酸の摂取が過剰にならないよう、注意が必要と考えられています。

トランス脂肪酸について

脂肪酸には、2013年11月、アメリカ食品医薬品局(FDA)が安全性を否定したことで改めて注目を浴びた「トランス脂肪酸」があります。

不飽和脂肪酸には炭素の二重結合部周辺の構造の違いによって「シス型」と「トランス型※」があり、トランス型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて 「トランス脂肪酸」と呼んでいます。
一方、天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型です。
※脂肪酸の場合では水素原子が炭素の二重結合をはさんでそれぞれ反対側についている。

トランス脂肪酸には、天然の食品中に含まれているものもありますが、近年、特に問題になっているのは「油脂の加工・精製によってできるもの」です。
具体的には、常温では液体の植物油や魚油から固形の油脂を製造する加工技術の一つである「水素添加」によってトランス脂肪酸が生成します。

そのため、そのような工程で製造されるマーガリンやショートニング、また、それらを材料に使用しているパンやお菓子等にトランス脂肪酸が含まれています。

トランス脂肪酸への注意喚起

トランス脂肪酸を過剰に摂取した場合の健康への悪影響について諸外国では、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)を増加させる可能性、肥満、アレルギー性疾患(喘息、アレルギー性鼻炎等)について関連性、妊産婦、胎児への影響(胎児の体重減少、流産等)などが報告されています。

これらの研究の多くはトランス脂肪酸の摂取量が多い欧米人を対象としたもので、日本人でも同じ影響があるかどうかは明らかではないとも言われています。
しかし、加工食品の利用が増加し、食の欧米化が進んでいる現代では、やはり注意が必要です。 

海外の先進国の多くはトランス脂肪酸を含めた脂質の過剰摂取について注意喚起を行っており、加工食品に対し、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などの含有量の表示の義務付けや食用油脂に含まれるトランス脂肪酸の上限値の設定をしている国もあります。

食生活で気をつけること

今の日本で普通に生活する以上、トランス脂肪酸と無縁でいることは不可能です。

しかし、商品に書かれている原材料表示をよく見て、「マーガリン」や「ショートニング」と書かれたものを摂らないなど、自身の選択によって 摂取量を減らすことは可能です。

(参考)
イラストレイテッド ハーパー・生化学
農林水産省ホームページ
日本人の食事摂取基準[2010年版]
そうだったんだ!脂肪酸(伊藤浩:編集)文光堂
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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