No.108 MCI(軽度認知障害)対策
前回はMCI(軽度認知障害)の症状とスクリーニング検査の種類についてまとめました。
今回は、MCIが疑われた場合に重要であると考えられている対策について「栄養」「運動」「コミュニケーション」の3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
今回は、MCIが疑われた場合に重要であると考えられている対策について「栄養」「運動」「コミュニケーション」の3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
MCIと認知症の関係
MCIは、記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はない(あっても軽度のもの)状態です。
MCIから認知症への移行は年間で10~15%だと言われ、認知症は症状が進行すると治療は難しいと言われています。
しかし、MCIの状態であれば早期発見・対策によって正常に回復(あるいは長期間MCIを保持)することも期待できます。
MCIから認知症への移行は年間で10~15%だと言われ、認知症は症状が進行すると治療は難しいと言われています。
しかし、MCIの状態であれば早期発見・対策によって正常に回復(あるいは長期間MCIを保持)することも期待できます。
MCI対策
現在、MCI対策には「栄養」、「運動」、「コミュニケーション」が大切であると考えられています。
栄養
MCIや認知症の予防に有効だと考えられている栄養素・食生活要因として、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12など)、ビタミンD、抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなど)、魚油(オメガ3系脂肪酸)が挙げられます。
これらの栄養素は魚介類、豆類、緑黄色野菜、果物などに多く含まれており、このような食材を豊富に含む地中海食や日本食も健康長寿食として注目されています。
その他、日本人に馴染み深い緑茶、特殊な栄養成分としてα-GPC(アルファグリセロホスホコリン)、ホスファチジルセリン、イチョウ葉なども認知症に対する有効性が報告されています。
これらの栄養素は魚介類、豆類、緑黄色野菜、果物などに多く含まれており、このような食材を豊富に含む地中海食や日本食も健康長寿食として注目されています。
その他、日本人に馴染み深い緑茶、特殊な栄養成分としてα-GPC(アルファグリセロホスホコリン)、ホスファチジルセリン、イチョウ葉なども認知症に対する有効性が報告されています。
<各栄養素がMCI・認知症対策となる根拠>
有効成分 | 発行元 |
ビタミンB1 | Metab Brain Dis. 1996 Mar;11 (1):89-94. |
ビタミンB6 葉酸 ビタミンB12 |
PLoS One. 2010 Sep 8;5(9):e12244. |
ビタミンD | Arch Intern Med. 2010 Jul 12;170(13):1135-41. |
ビタミンE ビタミンC |
Neurology. 2000 Mar 28;54(6):1265-72. |
クルクミン(ポリフェノール) | J Psychopharmacol. 2015 May;29(5):642-51. |
オメガ3系脂肪酸 | J Nutr Health Aging. 2011 Feb; 15(2):115-20. |
緑茶 | Am J Ger Psy Volume 24, Issue 10, October 2016, Pages 881-889 |
α-GPC | Clin Ther. 2003 Jan;25(1): 178-93. |
ホスファチジルセリン | Genet Mol Res. 2015 Aug 10;14(3):9325-33. |
イチョウ葉 | Int J Geriatr Psychiatry. 2014 Oct;29(10):1087-95. |
運動
認知機能の低下を防ぐためには、適切な栄養補給に加えて運動も重要であると考えられており、多くの研究で運動負荷による認知機能低下の予防に関するエビデンスが示されています。
例えば、中高齢者の歩行スピードの低下や握力の低下は認知機能低下と関連があるという報告(Epidemiol Rev.2013;35:33-50)があります。
例えば、中高齢者の歩行スピードの低下や握力の低下は認知機能低下と関連があるという報告(Epidemiol Rev.2013;35:33-50)があります。
また、MCIの方が有酸素運動を中心とした運動を6ヵ月間行ったところ、認知機能の改善がみられ、健忘型MCIでは脳萎縮が生じている領域で脳量の維持が認められています(国立長寿医療研究センター 認知症予防マニュアル)。
コミュニケーション
ここでのコミュニケーションとは、家族や友人、近隣住民などの周囲の人と関わること(社会的ネットワーク)を示しています。
アメリカの全国データを用いて、人との関わりが認知機能に及ぼす影響を検証した研究では、社会的ネットワークが最も低い群は最も高い群よりも認知機能が2倍も低下していました(Am Public Health. 2008 Jul;98(7):1215-20.)。
アメリカの全国データを用いて、人との関わりが認知機能に及ぼす影響を検証した研究では、社会的ネットワークが最も低い群は最も高い群よりも認知機能が2倍も低下していました(Am Public Health. 2008 Jul;98(7):1215-20.)。
近年、アメリカのブレデゼン博士という方が研究して確立したプログラムであるリコード法(ReCODEプロトコル)が注目されています。
リコード法とは、体組成や血液などの検査を行い、栄養(糖質の摂取量を減らす、グルテン・乳製品・加工食品を摂らない など)や運動(ジョギング、ウォ-キング、ダンス、ウェイトトレーニング など)、睡眠(8時間睡眠)、脳トレーニングなどによって、検査で見つかった異常を改善し、MCIや認知症の状態を正常に戻すことを目標としています。
まとめ
MCIの段階で積極的に対策を講じることで、最終的には正常な認知機能を持つ高齢者を増やし、認知症の発症を減らせる可能性があります。
MCIになってからはもちろんですが、MCIになる前から食生活や生活習慣を見直し、最適な栄養・運動・コミュニケーションを心がけたいものです。
MCIになってからはもちろんですが、MCIになる前から食生活や生活習慣を見直し、最適な栄養・運動・コミュニケーションを心がけたいものです。
【参考】
基礎からわかる軽度認知障害(MCI)(医学書院)
日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017
アルツハイマー病 真実と終焉"認知症1150万人"時代の革命的治療プログラム(ソシム)
基礎からわかる軽度認知障害(MCI)(医学書院)
日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017
アルツハイマー病 真実と終焉"認知症1150万人"時代の革命的治療プログラム(ソシム)
情報提供元:株式会社ヘルシーパス
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