No.109 COVID-19と血中ビタミンD濃度の関係
ビタミンDには免疫を調節する作用があり、感染症、がん、アレルギーなど様々な疾患に効果が期待されています。
今回は、新型コロナウイルス(COVID-19)と血中ビタミンD濃度に関する調査を報告した論文をご紹介します。
今回は、新型コロナウイルス(COVID-19)と血中ビタミンD濃度に関する調査を報告した論文をご紹介します。
ビタミンDの働き
ビタミンDの代表的な働きは、腸管からのカルシウム吸収や骨形成の促進ですが、その他にも免役調節の役割があります。
特に感染症対策としては、生体に侵入した病原体をいち早く感知して発動する第一線の生体防御機構である、自然免疫系のマクロファージや樹状細胞をサポートすることが分かっています。
最近ではCOVID-19に対するビタミンDの働きが注目されるようになっています。
特に感染症対策としては、生体に侵入した病原体をいち早く感知して発動する第一線の生体防御機構である、自然免疫系のマクロファージや樹状細胞をサポートすることが分かっています。
最近ではCOVID-19に対するビタミンDの働きが注目されるようになっています。
COVID-19と血中ビタミンDに関する論文
COVID-19の罹患率、死亡率とビタミンDの関連性
欧州20カ国のデータ比較:グラフ①
ビタミンDの血中レベル(血清25(OH)D)の平均値と、COVID-19によって引き起こされる症例と死亡率との間に潜在的な関連があるという仮説を検証。
欧州20か国のビタミンDレベルと、100万人当たりのCOVID-19による罹患率と死亡率を集計したところ、ビタミンDレベル(平均22.4ng/ml)、COVID-19症例数/月(平均295.95)、死亡者数/月(平均5.96)だった。国ごとのビタミンDレベルとCOVID-19によって引き起こされる症例と死亡率との間に負の相関関係がみられた。
特にスペイン、スイスでは高齢者のビタミンDレベルが非常に低く、COVID-19にとても弱い集団だと考えられる。
(Petre Cristian Ilie et al., Aging Clin Exp Res.2020 Jul; 32(7):1195-1198.)
欧州20か国のビタミンDレベルと、100万人当たりのCOVID-19による罹患率と死亡率を集計したところ、ビタミンDレベル(平均22.4ng/ml)、COVID-19症例数/月(平均295.95)、死亡者数/月(平均5.96)だった。国ごとのビタミンDレベルとCOVID-19によって引き起こされる症例と死亡率との間に負の相関関係がみられた。
特にスペイン、スイスでは高齢者のビタミンDレベルが非常に低く、COVID-19にとても弱い集団だと考えられる。
(Petre Cristian Ilie et al., Aging Clin Exp Res.2020 Jul; 32(7):1195-1198.)
※Aging Clin Exp Res (2020) Jul;32(7) P1196を参考に作成
COVID-19感染患者の臨床結果を改善する可能性
(サウスイースタン・フィリピン大学:査読なし)
COVID-19感染の212症例の臨床結果と血清25(OH)D(ビタミンD)レベルの分析。症状は「軽度」「中等」「重症」「最重症」の4つに分類された。
結果、軽度:49例(23.1%)、中等:59例(27.8%)、重症:56例(26.4%)、最重症:48例(22.6%)であり、ビタミンDレベルが低いグループほど重症、最重症の割合が多かった。
また、ビタミンDレベルが高いほど軽度が多く、重症化が少ないことが分かり、ビタミンDの状態は臨床結果と有意に関連していた。
(Mark M. Alipio,Vitamin D supplementation could possibly improve clinical outcomes of patients infected with Coronavirus-2019 (COVID2019), April 9, 2020)
結果、軽度:49例(23.1%)、中等:59例(27.8%)、重症:56例(26.4%)、最重症:48例(22.6%)であり、ビタミンDレベルが低いグループほど重症、最重症の割合が多かった。
また、ビタミンDレベルが高いほど軽度が多く、重症化が少ないことが分かり、ビタミンDの状態は臨床結果と有意に関連していた。
(Mark M. Alipio,Vitamin D supplementation could possibly improve clinical outcomes of patients infected with Coronavirus-2019 (COVID2019), April 9, 2020)
COVID-19死亡率とビタミンDのパターン
インドネシアの研究(予備調査):グラフ②
COVID-19感染780例のコホート研究。感染者の血清25(OH)D(ビタミンD)レベルについて次のように分類。
正常:>30ng/ml
不十分:21-29ng/ml
欠乏:<20ng/ml
ビタミンD欠乏と不十分の死亡者はそれぞれ98.9%、87.8%である一方、血清25(OH)Dが正常だったグループの死亡率はわずか4.1%だった。
ビタミンDの血中レベルが30ng/mlを下回ると死亡の可能性が急激に増加することが分かった。
(Prabowo Raharusuna et al., Patterns of COVID-19 Mortality and VitaminD:An Indonesian Study, April 26,2020)
正常:>30ng/ml
不十分:21-29ng/ml
欠乏:<20ng/ml
ビタミンD欠乏と不十分の死亡者はそれぞれ98.9%、87.8%である一方、血清25(OH)Dが正常だったグループの死亡率はわずか4.1%だった。
ビタミンDの血中レベルが30ng/mlを下回ると死亡の可能性が急激に増加することが分かった。
(Prabowo Raharusuna et al., Patterns of COVID-19 Mortality and VitaminD:An Indonesian Study, April 26,2020)
※Patterns of COVID-19 Mortality and Vitamin D: An Indonesian Studyを参考に作成
【参考】
小林正,化学と生物Vol.30,No.6,(1992)360-367
門脇則光,CytometryResearch 25(1):7-12(2015)
小林正,化学と生物Vol.30,No.6,(1992)360-367
門脇則光,CytometryResearch 25(1):7-12(2015)
情報提供元:株式会社ヘルシーパス
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当院では多くの患者様の早期癌の発見等の最新医療をおこなってきました。
今後は、いかにして癌化しにくい身体を創り上げていくかを次の目標にしたいと心しています。
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