No.115 血中ビタミンD濃度の季節変化
近年注目を集めている栄養素であるビタミンDは体内で合成することができますが、その合成量は季節によって変化することが分かっています。今回は体内のビタミンDレベルの季節変化について紹介します。
ビタミンD生成と基準値
ビタミンとは「体内ではほとんど合成することができないが、人体の機能を正常に保つため必要な有機化合物」と定義されます。ヒトの場合、多くのビタミンは体内で合成できませんが、一部のビタミンは作り出すことができ、ビタミンDは体内のコレステロールから生成されます。
その流れは、皮膚で7-デヒドロコレステロールが日光(紫外線:UV-B)によってビタミンD3に転換された後、肝臓で25位が水酸化されて25ヒドロキシビタミンD〔25(OH)D3〕 が生成します。
その後、腎臓で1α位が水酸化されて活性型ビタミンDである1α-25ジヒドロキシビタミンD〔1,25 (OH) 2D3〕 に代謝され、体内で機能を発揮します。
その流れは、皮膚で7-デヒドロコレステロールが日光(紫外線:UV-B)によってビタミンD3に転換された後、肝臓で25位が水酸化されて25ヒドロキシビタミンD〔25(OH)D3〕 が生成します。
その後、腎臓で1α位が水酸化されて活性型ビタミンDである1α-25ジヒドロキシビタミンD〔1,25 (OH) 2D3〕 に代謝され、体内で機能を発揮します。
体内のビタミンDレベルは、肝臓で生成する25(OH)D3の血中濃度を測定することで判断します。
血中ビタミンD〔25(OH)D3〕濃度の基準
- 充足:≧ 30 ng/ml
- 不足: 20 ng/ml ~30 ng/ml未満
- 欠乏:< 20 ng/ml
ビタミンDの合成量を左右する要素としては、季節、時間帯、日照時間、雲の量、煙霧、皮膚のメラニン量、そして、化粧品の「日焼け止め」などが挙げられます。
紫外線に当たる時間の目安
健康を維持するために日本人成人が必要とする1日当たりのビタミンD必要量は15μgと見積もられています。
日本人成人のビタミンD摂取目安量は、5.5μgなので、それに加えて約10μgを紫外線によって体内で生成する必要があることになります。
日本人に最も多いとされている肌のタイプ(国際基準:Ⅲ)の人が、つくば市において日中に顔と両手の甲(600cm2)、肩、腕などを含めて(1,200cm2)露出した場合、夏(7月)と冬(12月)の紫外線量(UV Index)に対応して10μgのビタミンDを生成するのに必要な時間は、以下の通りです。
日本人成人のビタミンD摂取目安量は、5.5μgなので、それに加えて約10μgを紫外線によって体内で生成する必要があることになります。
日本人に最も多いとされている肌のタイプ(国際基準:Ⅲ)の人が、つくば市において日中に顔と両手の甲(600cm2)、肩、腕などを含めて(1,200cm2)露出した場合、夏(7月)と冬(12月)の紫外線量(UV Index)に対応して10μgのビタミンDを生成するのに必要な時間は、以下の通りです。
600㎝2 | 1,200㎝2 | |
7月(UV Index10) | 6.6分 | 3.3分 |
12月(UV Index2) | 42.2分 | 21.1分 |
冬は紫外線量が少ないため、夏と比較して約7倍も長く日光に当たる必要があります。
血中ビタミンD濃度の季節変化
体内のビタミンDレベルは、太陽放射(紫外線量)と相関し、冬~春は夏~秋よりも大幅に低くなることが知られています。
※グラフはHiroaki Okabe et al.,Anal Sci. 2018 Sep 10;34 (9) :1043-1047.Fig.3を筆者一部修正
また、妊娠中の日本人女性では、母体および臍帯血中の平均血清25(OH)D3濃度は出産の季節によって異なり、どちらも秋が最も高かったが、妊婦全体の61.3%がビタミンD欠乏状態であったと報告されています(Eishi Sogawa et al.,J Med Invest.2019;66(1.2):128-133.)。
小児や成人でも血中ビタミンD濃度は同様な季節変化があり、夏や秋でも欠乏している人が一定割合存在していることが分かっています。
日本人は通年、不足しがちなビタミンDですが、免疫を調節するという重要な働きがあるため、特に風邪やインフルエンザなどの感染症が流行する冬~春の期間は、意識して日光に当たったり、ビタミンDの補給をお勧めします。
【参考】
厚生労働省 e-ヘルスネット サイト
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報サイト
日本内分泌学会雑誌 Vol. 93 Suppl. Mar. 2017「日本骨代謝学会 ビタミン D 不足・欠乏の判定指針」
厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)小児ビタミン D 欠乏症の実態把握と発症率の推定,分担研究報告書「全国の日本人小児の血中ビタミン D 濃度の現状」
Akiko Nanri et al.,J Epidemiol. 2011; 21(5): 346–353.国立研究開発法人 国立環境研究所 サイト
国立環境研究所 地球環境研究センタ- サイト
気象庁サイト
厚生労働省 e-ヘルスネット サイト
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報サイト
日本内分泌学会雑誌 Vol. 93 Suppl. Mar. 2017「日本骨代謝学会 ビタミン D 不足・欠乏の判定指針」
厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)小児ビタミン D 欠乏症の実態把握と発症率の推定,分担研究報告書「全国の日本人小児の血中ビタミン D 濃度の現状」
Akiko Nanri et al.,J Epidemiol. 2011; 21(5): 346–353.国立研究開発法人 国立環境研究所 サイト
国立環境研究所 地球環境研究センタ- サイト
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情報提供元:株式会社ヘルシーパス
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