No.119 今さら聞けないシリーズ ビタミンC
健康や美容のためにサプリメントでビタミンCを補給している方は多く、ビタミンCは私たちにとって身近な栄養素のひとつです。今回は、ビタミンCの吸収や最適な摂取法など、やや詳しくご紹介します。
ビタミンCはどんな栄養素?
ビタミンCは抗壊血病因子として発見されさた水溶性ビタミンで、L-アスコルビン酸ともいいます。多くの動物はブドウ糖をもとにしてウロン酸サイクルからビタミンCを体内で合成することができますが、ヒトやモルモットなどでは生合成に必要な酵素が欠損しており、体内で合成することができません。そのため、野菜や果物などの食品からビタミンCを補給する必要があります。体内ではコラーゲンや神経伝達物質の合成に関わる他、重要な抗酸化物質でもあり、ビタミンEなどの抗酸化物質の再生も行っています。
ビタミンCの吸収
ビタミンCは消化管で吸収されたのち、血中に送られ、組織や器官への取り込みはナトリウム依存性の能動輸送と濃度勾配による受動輸送によって行われます。ビタミンC(アスコルビン酸)と酸化ビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)では輸送系が異なりますが、酸化ビタミンCは生体内では還元酵素によって速やかにビタミンCに変換されるため、いずれも生物学的な効力を持つと考えられています。赤血球や白血球ではビタミンCよりも酸化ビタミンCの方が容易に取り込まれ、還元酵素でビタミンCに還元しています。
なお、体内のビタミンCレベルは、消化管からの吸収率、体内における再利用、腎臓からの未変化体の排泄により調節されており、食事から摂取したビタミンCもサプリメントなどから摂取したビタミン C も、その相対生体利用率に差異はないとされています。
ビタミンCの不足による問題
ビタミンCが不足すると、コラーゲンの構造が弱くなることで毛細血管から出血し、歯肉炎(壊血病の初期症状)、貧血、全身倦怠感、脱力、食欲不振などの症状が現れます。ビタミンCが不足しやすいのは、1人暮らしの男性のような野菜や果物の摂取が少ない人、アルコールや薬物などの中毒者などがですが、日本人は多くの年代でビタミンCの摂取量が不足しているため、普段からの積極的な摂取が望まれます。
ビタミンCの摂取方法
ビタミンCを経口摂取する場合、30~180 mg/日の摂取量では約70~90%が吸収されるといわれています。1g/日を上回る摂取量では吸収率が50%未満に低下し、吸収されて代謝されなかったビタミンCは尿中に排泄されますが、同じ1g/日のビタミンC摂取でも、2〜3回に分けて摂取した方が体内に多く保持され、抗酸化能が高いことが分かっています。なお、ビタミンCを1.25g/日の用量で経口投与した場合では、血漿中の最高ビタミンC濃度の平均値は135 μmol/Lとなり、ビタミンCを豊富に含む食品から200~300 mg/日 のアスコルビン酸を摂取した場合の約2倍の値を示すようです。
また、体内でビタミンCを合成できる多くのほ乳動物は、体重60kg当たり1〜16g/日のビタミンCを合成しており、原始人やジャングルに生息するゴリラは植物性の食物から2g/日程度のビタミンCを摂取しているといわれています。
以上のことより、成人の場合のビタミンCの推奨量は100mg/日(日本人の食事摂取基準)とされていますが、健康や美容、病気の治療などにおいては吸収率の低下を考慮し、1g/日以上の摂取が望まれます。そして、小腸での吸収を考慮すると、摂取方法は1日に2~3回程度に分け、食後に摂るのが良いと考えられます。
【参考】
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報サイト
厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信サイト
KEGG DRUG Database
ビタミンの辞典(日本ビタミン学会)
日本人の食事摂取基準(2015年版)
ビタミン73巻2号(2月)1999「ビタミンCの発見と新展開」
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報サイト
厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「統合医療」情報発信サイト
KEGG DRUG Database
ビタミンの辞典(日本ビタミン学会)
日本人の食事摂取基準(2015年版)
ビタミン73巻2号(2月)1999「ビタミンCの発見と新展開」
情報提供元:株式会社ヘルシーパス
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