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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.135 ビフィズス菌と乳酸菌の有効性

No.135 ビフィズス菌と乳酸菌の有効性


ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌は腸管内で様々な働きをしており、私たちの健康に寄与しています。有用菌はその種類によって働きが異なりますが、今回はビフィズス菌と乳酸菌 各2種の有効性を紹介します。

有用菌とは?

私たちヒトの腸管(主に大腸)には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息し、腸内細菌の持つ総遺伝子数はヒトの遺伝子の100倍以上とも言われています。   
その腸内細菌は、有用菌(善玉菌)、有害菌(悪玉菌)、中間菌(日和見菌)の3グループで構成されており、一般的に腸内細菌の中で一番数が多いのは中間菌、次に有用菌が多く、有害菌は少数です。これらの菌は密接な関係で複雑なバランスを保っています。腸内細菌の種類は個人ごとに異なり、さらに食事や住んでいる国などの要因によっても異なるとされていますが、出生直後から免疫の成立する離乳期までの環境因子が重要な影響を及ぼすと考えられています。
有用菌は乳酸や酢酸などの有機酸を作り、腸内を酸性に保ちます。酸性になることで有害菌の増殖を抑制して食中毒菌や病原菌による感染を予防する他、発がん性をもつ腐敗産物の産生抑制、免疫力向上、腸管内でのビタミンB群の産生などに役立っています。

ビフィズス菌の有効性

ビフィズス菌は酸素があると生きていけない偏性嫌気性菌であり、酸素のない大腸に多く分布しています。その量は乳酸菌の数百倍と言われています。
ビフィズス菌はエサである糖を分解すると、乳酸だけでなく酢酸も産生するのが特徴です。乳酸を産生するので乳酸菌に分類されることもありますが、学術的には全く異なる細菌です。ビフィズス菌は人工栄養児よりも母乳栄養児に、高齢者よりも若者に、そして病人よりも健康な人の腸内に多いことが知られています。

高齢者のインフルエンザ予防

65歳以上の高齢者27名を対象にビフィズス菌(BB536菌)末を1000億個以上/日で19週間連続投与したところ、試験期間中にインフルエンザ発症や38℃以上の発熱の回数がプラセボ群より少なくなり、また、ビフィズス菌BB536の投与により、NK活性や好中球の殺菌能が高まり、免疫力の上昇が確認された。
(Kazuyoshi Namba et al., Biosci. Biotechnol.Biochem,74(5),939-945,2010)

乳児のアトピー性皮膚炎

ミルクアレルギーによるアトピー性皮膚炎の乳児15名を対象にして行われた試験。投与群にはビフィズス菌(M-16V菌)末を50億個/日または150億個/日(50億個×3回)与えた。結果、プラセボ群と比較して投与群では腸内のビフィズス菌の占有率が高くなり、アトピー性皮膚炎の症状が緩和されることが示された。
(服部 和裕,アレルギー 52 (1),20-30,2003)

乳酸菌の有効性

乳酸菌は約 35 億年前には地球上に存在していたと言われている細菌の仲間です。形状は大きく分けて棒状の桿菌と球状の球菌があります。
乳酸菌という名称は分類学的に厳格に定義されておらず、糖を分解して50%以上の乳酸を作り出す菌の総称です。

抗肥満効果

肥満化させたマウスを3群に分け、漬物由来の植物性乳酸菌(Lp22A-3株)、緑茶カテキン(EGCg)、Lp22A-3株+EGCgをそれぞれ与えたところ、EGCg投与のマウス糞中からは高濃度にEGCgが検出されたが、EGCg+Lp22A-3株投与マウスの糞ではその量が著しく減少し、さらに内臓脂肪が有意に減少した。Lp22A-3株の働きで腸管内におけるカテキンの吸収率が高まり、緑茶の抗肥満効果を向上させたと考えられる。
(林 多恵子 et al.,腸内細菌学雑誌 27:151-158,2013)
※EGCgは腸管からの吸収率が非常に低いが、Lp22A-3株はEGCgを吸収させやすくする酵素(タンナーゼ)を産生する。

腸内菌叢改善作用

健康な成人女性18名を3群に分け、有胞子性乳酸菌末をそれぞれ0.2億個/日、1.0億個/日、2.0億個/日を2週間摂取させた試験では、腸内細菌叢の改善によって便中のアンモニア濃度が減少し、さらに便の水分量が正常域に収束(改善)した。
(飯野 久和 et al., Progress in Medicine Vol.17 No.12 1997.12)
【参考】
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
安藤 朗,日内会誌104:29~34,2015
奥 恒行,栄養学雑誌Vol.52 No.5 267~268(1994)
一般社団法人 全国発酵乳乳酸菌飲料協会 発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会サイト
立垣愛郎Comprehensive Medicine Vol.17 No.1,8-19(2018)
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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