No.138 歯科疾患と認知症の関係
近年、う歯(虫歯)の原因となると言われるミュータンス菌の一種や、歯周病原菌、歯の残存数などは認知症と関連することが多数報告されています。今回は、歯科疾患と認知症の関係についてまとめます。
う歯(虫歯)と歯周病
う歯も歯周病も常在菌による感染症であり、う歯はストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)が原因とされています。
歯周病の主な病原菌は「Pg菌:ポルフィノモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)」、「Aa菌:アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacicclus actino-mycetemcomitans)」「Td菌:トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)」などがあります。
う歯も歯周病も初期は痛みを感じないことが多いですが、放置すると状態を悪化させるだけでなく、それぞれの病原菌を体内に取り込むことになってしまいます。
歯周病の主な病原菌は「Pg菌:ポルフィノモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)」、「Aa菌:アクチノバチラス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacicclus actino-mycetemcomitans)」「Td菌:トレポネーマ・デンティコーラ(Treponema denticola)」などがあります。
う歯も歯周病も初期は痛みを感じないことが多いですが、放置すると状態を悪化させるだけでなく、それぞれの病原菌を体内に取り込むことになってしまいます。
歯科疾患と認知症に関わる論文紹介
歯周病が糖尿病を悪化させたり、誤嚥性肺炎の原因にもなることが知られていますが、最近では、歯科疾患と認知症の関係についても研究が進み、歯科疾患が認知症につながる可能性があることが分かってきています。
以下、歯科疾患と認知症に関する研究を3報紹介します。
歯の残存数と認知症
歯の喪失が認知症リスクに及ぼす相対的な影響を明らかにするために1994年から2017年の間に発表された21件の研究(横断研究:9報、コホート研究:9報、症例対照研究:3報)においてシステマティックレビューとメタアナリシスを行ったところ、複数の歯の喪失を伴う患者は認知症の発生率が高いことが示された。
歯の喪失が成人の認知症リスク増加と正の関連がある可能性がある(Wen-Li Fang et al., BMC Psychiatry. 2018 Oct 20;18(1):345.)。
歯の喪失が成人の認知症リスク増加と正の関連がある可能性がある(Wen-Li Fang et al., BMC Psychiatry. 2018 Oct 20;18(1):345.)。
歯周病菌と認知症
アルツハイマー型認知症の原因のひとつと言われているアミロイドβ(Aβ)は、歯周病原菌(Pg菌)感染時に末梢マクロファージで生成が増加する事が分かっている。
Pg菌を正常な中年マウスに3週間連続で投与したところ、コントロール(生理食塩水投与)群と比較し、血液脳関門を構成する脳血管内皮細胞において、Aβと結合してAβの脳内輸送を担う受容体である終末糖化産物受容体(RAGE)が倍増した。そして、その周囲の脳実質内に凝集性が高いAβが増加し、記憶障害が誘発された。
また、ヒト由来の細胞(hCMEC/D3細胞)を用いて、未感染細胞と比較したところ、Pg菌に感染したhCMEC/D3細胞では増大するカテプシンB※1によって、NFκB活性化が持続し、RAGE発現を増大させることが判明した。
このことから、Pg菌感染による全身の炎症性マクロファージにおいてカテプシンBに依存してAβが産生され、Aβが血液に乗って脳血管内皮細胞に接触すると、脳血管内皮細胞にカテプシンBに依存したRAGEを介して脳内に輸入され、脳内への Aβの蓄積を促進させることが示唆された(Fan Zeng et al.,J Neurochem. 2020 May 22.)。
※1 カテプシンB:リソソーム性プロテアーゼの一種
Pg菌を正常な中年マウスに3週間連続で投与したところ、コントロール(生理食塩水投与)群と比較し、血液脳関門を構成する脳血管内皮細胞において、Aβと結合してAβの脳内輸送を担う受容体である終末糖化産物受容体(RAGE)が倍増した。そして、その周囲の脳実質内に凝集性が高いAβが増加し、記憶障害が誘発された。
また、ヒト由来の細胞(hCMEC/D3細胞)を用いて、未感染細胞と比較したところ、Pg菌に感染したhCMEC/D3細胞では増大するカテプシンB※1によって、NFκB活性化が持続し、RAGE発現を増大させることが判明した。
このことから、Pg菌感染による全身の炎症性マクロファージにおいてカテプシンBに依存してAβが産生され、Aβが血液に乗って脳血管内皮細胞に接触すると、脳血管内皮細胞にカテプシンBに依存したRAGEを介して脳内に輸入され、脳内への Aβの蓄積を促進させることが示唆された(Fan Zeng et al.,J Neurochem. 2020 May 22.)。
※1 カテプシンB:リソソーム性プロテアーゼの一種
虫歯菌と認知症
脳内微小出血(CMB)は脳卒中や認知症の危険因子であると言われていることから、平均年齢70歳の279名を対象に「唾液中のコラーゲン結合タンパク質(cnm)陽性ミュータンス菌」の有無をPCRで調べ、コラーゲン結合活性、CMB、および認知機能を評価した。結果、cnm陽性ミュータンス菌保有者はCMBがある人で高頻度に検出された。また、ミュータンス菌陽性の被験者では、深部CMBの頻度が高く、認知機能が低かったと報告されている(Isao Watanabe et al., Sci Rep. 2016 Dec 9;6:38561.)。
まとめ
認知症の発症や進行には低栄養や微量栄養素の欠乏も影響していると言われ、体重減少はアルツハイマー型認知症発症および発症後の認知機能低下に関連する危険因子です。歯の喪失や口腔機能の低下は栄養素摂取に影響を与えるため、口腔のケアは認知症対策にとても重要であると考えられます。
また、口腔への刺激や咀嚼運動は脳を活性化させて機能低下を防ぐと言われ、さらに、口腔の健康への認識が高いことは残存歯数が維持・口腔の健康保持・活動能力の維持に繋がり、認知症発症リスクを低下させるとされています。
歯科の二大疾患である「う歯」と「歯周病」への対策をすることで、認知機能低下や認知症発症の予防に直接または間接的に貢献できる可能性があります。
【参考】
厚生労働省 e-ヘルスネット サイト
山陰労災病院 サイト
福島県立医科大学 サイト
葭原 明弘 et al.,口腔衛生会誌 J Dent Hlth 67: 251–259, 2017
厚生労働省 e-ヘルスネット サイト
山陰労災病院 サイト
福島県立医科大学 サイト
葭原 明弘 et al.,口腔衛生会誌 J Dent Hlth 67: 251–259, 2017
情報提供元:株式会社ヘルシーパス
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今後は、いかにして癌化しにくい身体を創り上げていくかを次の目標にしたいと心しています。
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