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ホーム > アンチエイジングトピックス > No.145 相性の良い栄養素の組み合わせ

No.145 相性の良い栄養素の組み合わせ


私たちは日々、様々な種類の栄養素を摂取しています。栄養素はその組み合わせにより、吸収されやすくなったり、働きが良くなったりします。今回はビタミンとミネラルに着目し、相性の良い組み合わせをご紹介します。

栄養素の相性とは?

栄養素には相性の良い組み合わせが存在します。
例えば、吸収されにくい栄養素は特定の性質を持つ栄養素と一緒に摂ることで吸収率がアップすることがあります。また、組み合わせることで、期待される効果がさらに良くなることから、一緒に摂るべき栄養素もあります。
抗酸化物質は、その由来や構造により抗酸化作用を発揮する活性酸素種が決まっているため、1種類の抗酸化物質だけを大量に摂取するよりも種類の異なるものを複数摂った方が体内での働きが良いと考えられています。

相性の良い栄養素の組み合わせ

相性の良い栄養素の組み合わせの中で、代表的なビタミン・ミネラルの組み合わせをご紹介します。

ビタミンA × 亜鉛

ビタミンAの遺伝子発現調節作用には、亜鉛を構造体に持つ物質(DNA結合ドメイン)が必要。また、ビタミンAはレチノール、レチナール、レチノイン酸に分類されるが、主に動物性食品に含まれるビタミンA(レチニル脂肪酸エステル)をレチノールに、レチノールをレチナールに変換する酵素には亜鉛が必要とされる。さらに、亜鉛欠乏により、レチノール結合タンパク質(レチノールの輸送とレチノールの潜在毒性から器官を保護する)の合成が低下する。

ビタミンD × カルシウム

活性型ビタミンDはカルシウムの恒常性を調整し、血清カルシウム濃度を正常化する。
(食事からのカルシウムの腸における吸収促進、腎臓でろ過されたカルシウムの再吸収増加、カルシウム不足時には骨から血液にカルシウムを移動、など)

ビタミンD × マグネシウム

マグネシウムは、ビタミンDを腎臓で活性化する水酸化酵素(CYP27 B1)の補因子として働くため、体内のマグネシウムの状態はビタミンDの代謝に重要。

ビタミンE × ビタミンC

ビタミンEがフリーラジカルを中和するとその抗酸化能が失われるが、ビタミンCはビタミンEの抗酸化活性を再生する。

ビタミンC × 鉄

非ヘム鉄は、二価鉄に還元されてから吸収されるが、還元物質であるビタミンCを一緒に摂取することで吸収率が高くなる(クエン酸や乳酸なども同様の働きがある)。
さらに、ビタミンCはコラーゲン代謝、カルニチン合成、チロシン代謝、カテコールアミン合成などにおける鉄含有ヒドロキシラーゼの働きにも関与している。

鉄 × 銅

銅は体内での正常な鉄の代謝と赤血球の生成に必要。また、エネルギー代謝(電子伝達系)において銅は鉄と共に電子の移動に関わっている。

亜鉛 × 銅

銅亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)として活性酸素を除去する働きがある。また、亜鉛の過剰摂取により銅が欠乏することがあるため、サプリメントなどで亜鉛を大量に摂取する場合には、合わせて銅も摂取するのがお勧め。

脂溶性ビタミン × 油脂

ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの脂溶性ビタミンは、胆汁酸などによってミセル化された後に小腸から吸収されるが、食事由来の油脂は脂溶性ビタミンの輸送体となり、吸収率を増加させる。例えば、食事由来のベータカロテンのビタミンAとしての生体利用率は1/12であるが、油脂に溶けたベータカロテンは1/2程度であり、油脂との相性が良い。

まとめ

今回挙げた組み合わせ以外にも、「ビタミンC×セレン」「ビタミンA×鉄」「ビタミンK×カルシウム」など相性の良い栄養はたくさん存在します。
「カルシウム×鉄」のように相性があまり良くない組み合わせもありますが、基本的には栄養素は単独で不足することはほとんどありません。また、体内ではそれぞれが助け合いながら働いているため、単独で摂取するよりもバランスよくマルチに摂取するのがお勧めです。
【参考】
柳内 延也 et al.,日本食品科学工学会誌 第51巻 第5号(2004)238~246
微量栄養素情報センター サイト
糸川 嘉則 編集「ミネラルの辞典」(朝倉書店)
日本ビタミン学会 編集「ビタミンの辞典」(朝倉書店)
Qi Dai et al.,Am J Clin Nutr,Volume 108,Issue 6,December 2018, Pages 1249–1258
イラストレイテッド ハーパー・生化学【原書29版】、今泉 勝己 et al.,栄養学雑誌 Vol.54 No.5 (1996) 271~283
情報提供元:株式会社ヘルシーパス

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