クローン病(CD)について
1.クローン病の病態
クローン病は口から肛門までの全消化管に炎症が起こる可能性がある病気で、粘膜の表面だけではなく消化管の壁全体に及ぶ、非連続性(病変が連続せず飛び飛びに存在すること)の炎症や潰瘍を起こします。消化管の中でも小腸と大腸に病気がみられることが多く、炎症の起こった範囲により小腸型、小腸大腸型、大腸型に分類されます。時として潰瘍がひどくなると腸から腸以外の他の臓器や皮膚につながってしまったり(瘻孔)、腸が狭くなって通過障害・腸閉塞を来たしたり(狭窄)することがあります。また、関節炎、虹彩炎、結節性紅斑、肛門部病変などの腸管外の合併症がみられることもあります。
2.クローン病の診断
診断には、症状経過の聴取、貧血や低栄養状態、炎症反応上昇などの血液検査異常の評価を行い、内視鏡検査や造影検査、腹部エコー検査、CTなどの画像検査にて特徴的な所見が認められた場合に診断されます。内視鏡検査や手術の際に同時に採取される組織の病理検査の所見や、肛門部の病変の所見などが診断に有用な場合もあります。
3.クローン病の治療
クローン病治療の目的は、腸管の炎症を抑えて症状を鎮め、寛解に導くとともに栄養状態の改善を図り、寛解状態を長期に継続することです。このような寛解導入ならびに寛解維持には、基本的に栄養療法と薬物療法を中心とした内科的治療が行われ、内科的治療で効果が得られない症状や合併症に対しては外科的治療が行われます。
栄養療法としては、活動期では主に成分栄養剤(エレンタール®)を用いた経腸栄養法や静脈から栄養剤を投与する完全中心静脈栄養法が行われ、寛解維持療法としては在宅経腸栄養法が行われます。
薬物療法としては、基準薬として5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(ペンタサ®、サラゾピリン®)が寛解導入ならびに寛解維持療法として使用されます。また、軽症~中等症の患者さんには、全身的な副作用の少ないステロイド徐放製剤(ブデゾニド®)も2016年より使用可能となりました。炎症が強い場合は、ステロイドの経口剤(プレドニン錠®)が用いられ、ステロイドが減量・中止できない場合には、免疫調節薬(アザニン®、ロイケリン®)が使用されます。また5-ASA製剤やステロイドで改善がみられない場合や肛門部に病変がある患者さんには抗菌剤が用いられることもあります。このような治療薬で効果がみられない場合は、血球成分除去療法や、より強力な薬として生物学的製剤が選択されます。生物学的製剤はこれまで、抗TNF-α抗体製剤のインフリキシマブ(レミケード®)やアダリムマブ(ヒュミラ®)のみでしたが、2017年より抗IL-12/23抗体製剤であるウステキヌマブ(ステラーラ®)が使用可能となり、2019年5月には抗α4β7インテグリン抗体製剤であるベドリズマブ(エンタイビオ®)も保険適用されました。
また、腸管が狭くなる狭窄に対しては、内視鏡的バルーン拡張術が行われる場合があり、これらの治療法・治療薬で効果が得られない病変に対して手術が行われます。
栄養療法としては、活動期では主に成分栄養剤(エレンタール®)を用いた経腸栄養法や静脈から栄養剤を投与する完全中心静脈栄養法が行われ、寛解維持療法としては在宅経腸栄養法が行われます。
薬物療法としては、基準薬として5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(ペンタサ®、サラゾピリン®)が寛解導入ならびに寛解維持療法として使用されます。また、軽症~中等症の患者さんには、全身的な副作用の少ないステロイド徐放製剤(ブデゾニド®)も2016年より使用可能となりました。炎症が強い場合は、ステロイドの経口剤(プレドニン錠®)が用いられ、ステロイドが減量・中止できない場合には、免疫調節薬(アザニン®、ロイケリン®)が使用されます。また5-ASA製剤やステロイドで改善がみられない場合や肛門部に病変がある患者さんには抗菌剤が用いられることもあります。このような治療薬で効果がみられない場合は、血球成分除去療法や、より強力な薬として生物学的製剤が選択されます。生物学的製剤はこれまで、抗TNF-α抗体製剤のインフリキシマブ(レミケード®)やアダリムマブ(ヒュミラ®)のみでしたが、2017年より抗IL-12/23抗体製剤であるウステキヌマブ(ステラーラ®)が使用可能となり、2019年5月には抗α4β7インテグリン抗体製剤であるベドリズマブ(エンタイビオ®)も保険適用されました。
また、腸管が狭くなる狭窄に対しては、内視鏡的バルーン拡張術が行われる場合があり、これらの治療法・治療薬で効果が得られない病変に対して手術が行われます。