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大腸癌検診と大腸癌


大腸癌検診と大腸癌についてのお話です。

大腸癌

大腸は、大きく結腸と直腸の2つに分けられます。
大腸癌は大腸の粘膜にできる悪性の腫瘍で、S状結腸と直腸に多くみられ、結腸癌、直腸がんを総称して「大腸癌」といいます。がんの中でも大腸がんの発生数は急速に増加しており、2002年、男性では第2位、女性では第1位となっています。とくに、女性の増加は著しく、2003年以降、女性の「大腸癌」死亡率は連続して第1位となっています。
大腸癌はめだった自覚症状がありません。進行癌でさえ検診などで偶然みつかることが多いのが現状で症状だけで気づくのは難しいといわれています。

大腸癌検診

大腸癌検診(便潜血検査)は、便中の微量の血液を検出することによって、癌患者を見つけるようにする方法です。症状のない人が毎年この検査を受けると、大腸癌による死亡率が60%減るという報告もあります。
この方法では、人の血液が便中に含まれている時しか陽性となりませんので、例えば前日に肉類など動物の血液が含まれているものを食べても影響を受けません。しかし歯ぐきから出血したり、痔が切れて出血したりしますと、検査は陽性と判定されることがありますので、その点ご注意ください。
大腸癌検診陽性者は、次に注腸や下部内視鏡検査を受けていただきますが、精密検査を受けていただく方の約1~2%に大腸癌が発見されます。また、20~40%の方に大腸ポリープ、憩室、内痔核などの何らかの大腸疾患が見つかります。大腸ポリープはがんの発生母地と言われていますので、ある程度の大きさのポリープが発見された場合は内視鏡で切除することをおすすめします。
大腸癌は他のがんと比較すると、おだやかな性格を持った、いわゆる”良いがん”ですので、かなりの進行癌で発見されても手術を受けていただくことによって良好な結果が得られます。どうぞ、年1回~2回の大腸がん検診を実施してください。

大腸癌の症状

  • 血便(新鮮血便、赤褐便)
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • 腹部不快感
  • 便が細い
  • 下腹部痛
  • 貧血
このような症状が現われたら、必ず医師の診察を受け、大腸カメラ検査を受けられることをおすすめします。

大腸癌の発生と進行

大腸の壁は内側から粘膜、筋肉、しょう膜で成り立っています。
大腸癌は粘膜の細胞から発生します。癌細胞は年単位の時間をかけて成長し、5ミリ程度の大きさになるころから発見可能になります。がんは横にも広がりますが、縦方向への進み具合(深達度)が重要で、これが進行癌か早期癌かを決めています。早期癌は、最深部が粘膜下層にとどまっているもの、進行癌は固有筋層より深く進んだものをいいます。深くなるとリンパ節、肝臓、肺に転移する率が高くなります。

治療法

大腸癌の治療には手術療法(内視鏡手術・開腹手術)・化学療法・放射線療法などがあります。
小さなポリープやがんが粘膜内にあるものは内視鏡下で切除ができます。
これをポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)、EMR(Endoscopic Mucosal Resection 内視鏡的粘膜切除術)といいます。                              
粘膜下層より深く浸潤してる場合は、外科的手術で切除します。
また、リンパ節への転移の状況などにより治療方法が決まります。

参考資料

浜松医科大学医学部付属病院(別ウインドウで開きます)
地域がん診療連携拠点病院広報誌「ひかり」
著者:浜松医科大学医学部分子診断学 金岡 繁 特任教授
浜松医科大学医学部付属病院 下部消化管外科診療部長 中村 利夫 准教授
日本消化器病学会(別ウインドウで開きます)

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