インターフェロンの現状と、将来の展望について
インターフェロン治療の現状と、将来の展望についてです。
インターフェロン(IFN)について
IFNはウイルスに人間が感染した時、ウイルスの排除を目的に白血球、マクロファージなど体内で合成されるたんぱく質です。インフルエンザに感染したときに高い熱が出たり、頭痛、関節痛が起こるのも体内で合成されたIFNが抗ウイルス作用を発揮しウイルスと戦っているからです。IFNの名前は、バイラルインターフェアランス(ウイルスの抑制)を起こす因子が由来です。1954年に日本人の研究者長野、小島らによって発見されました。
現在B型慢性肝炎とC型慢性肝炎の治療に抗ウイルス剤としてIFNが使用されています。IFNの作用は直接ウイルスを殺すのでなく、ウイルス増殖を阻害する酵素を合成し、抗ウイルス作用を発揮します。また免疫機構の活性作用も認められています。体内で合成されるIFNだけでは足りないために、遺伝子工学を利用して作られたIFNを注射として投与します。
IFNにはその産生される部位と構造式からアルファ、ベータ、ガンマなどが知られています。αとβは肝炎の治療に使われていますが、白血病、骨髄腫、腎癌、多発性硬化症などにも使用されています。γは、抗ウイルス作用は弱く、がんの治療に使われています。注射で大量のIFNを体内に入れるわけですから、当然高熱、頭痛、関節痛、全身倦怠の副作用が出ます。注射で投与されたIFNの効果は短く、毎日投与されなければなりませんでした。
1990年代には色々な投与法が検討され、C型慢性肝炎には2週連日投与その後週3回22週という治療法がスタンダードとして用いられるようになりました。しかしその結果はみじめなものでした。日本に多いジェノタイプ1型(C型肝炎にもいくつかの遺伝子亜型があります)でウイルス量の多いC型肝炎ウイルスに対する有効性は低く、たったの3%前後でした。また長期になると色々な副作用が出現し、上記の短期的な副作用に加え、貧血、不眠、うつ、脱毛、間質性肺炎、脳出血なども多く認められ、なかには致死的な副作用も出現しております。
こうした問題を解決するために2000年代になると徐放性のペグインターフェロン(Peg-IFN)が開発、使用されるようになりました。従来のIFNにポリエチレングリコールを重合させ、分子量を巨大化し、代謝時間を延ばすことで抗ウイルス効果を長時間保つことが出来るようになり、1週間に1度の注射が可能となりました。さらにリバビリンという抗ウイルス剤との併用が相乗効果をもたらすことがわかってきました。リバビリンはインフルエンザやエイズ、麻疹などのウイルス疾患に有効とされる古い薬です。単独では肝炎ウイルスに対する効果は弱いようです。現在では併用療法で、最も難治であるジェノタイプ1b型でウイルス量の多いC型肝炎であっても半数の症例で完全にウイルスを排除できるようになり、ジェノタイプⅡa型やⅡb型では90%の治癒が期待できるようになりました。
現在B型慢性肝炎とC型慢性肝炎の治療に抗ウイルス剤としてIFNが使用されています。IFNの作用は直接ウイルスを殺すのでなく、ウイルス増殖を阻害する酵素を合成し、抗ウイルス作用を発揮します。また免疫機構の活性作用も認められています。体内で合成されるIFNだけでは足りないために、遺伝子工学を利用して作られたIFNを注射として投与します。
IFNにはその産生される部位と構造式からアルファ、ベータ、ガンマなどが知られています。αとβは肝炎の治療に使われていますが、白血病、骨髄腫、腎癌、多発性硬化症などにも使用されています。γは、抗ウイルス作用は弱く、がんの治療に使われています。注射で大量のIFNを体内に入れるわけですから、当然高熱、頭痛、関節痛、全身倦怠の副作用が出ます。注射で投与されたIFNの効果は短く、毎日投与されなければなりませんでした。
1990年代には色々な投与法が検討され、C型慢性肝炎には2週連日投与その後週3回22週という治療法がスタンダードとして用いられるようになりました。しかしその結果はみじめなものでした。日本に多いジェノタイプ1型(C型肝炎にもいくつかの遺伝子亜型があります)でウイルス量の多いC型肝炎ウイルスに対する有効性は低く、たったの3%前後でした。また長期になると色々な副作用が出現し、上記の短期的な副作用に加え、貧血、不眠、うつ、脱毛、間質性肺炎、脳出血なども多く認められ、なかには致死的な副作用も出現しております。
こうした問題を解決するために2000年代になると徐放性のペグインターフェロン(Peg-IFN)が開発、使用されるようになりました。従来のIFNにポリエチレングリコールを重合させ、分子量を巨大化し、代謝時間を延ばすことで抗ウイルス効果を長時間保つことが出来るようになり、1週間に1度の注射が可能となりました。さらにリバビリンという抗ウイルス剤との併用が相乗効果をもたらすことがわかってきました。リバビリンはインフルエンザやエイズ、麻疹などのウイルス疾患に有効とされる古い薬です。単独では肝炎ウイルスに対する効果は弱いようです。現在では併用療法で、最も難治であるジェノタイプ1b型でウイルス量の多いC型肝炎であっても半数の症例で完全にウイルスを排除できるようになり、ジェノタイプⅡa型やⅡb型では90%の治癒が期待できるようになりました。
慢性肝炎の治療
平成20年の慢性肝炎の治療ガイドラインでは、B型慢性肝炎の場合、35歳以下の若年症例の時は先ずは、IFNの長期投与(24~48週)が第一選択として推奨されています。著効をきたすケースは20%前後とまだ十分とはいえませんが、将来の内服治療からの完全離脱が期待されます。
一方、C型慢性肝炎においてはPeg-IFN療法が必須です。ウイルス量のすくない場合は単独でも著効が期待されますが、ウイルス量の多い場合はPeg-IFNとリバビリン併用療法が推奨されています。C型肝炎ウイルスの量とジェノタイプにより、24週から72週の治療が示唆されています。ガイドラインに従って、きちんと治療が行われても、難治性のI型高ウイルス量の症例の50%、全体の40%では治癒を得られません。このなかには、60歳以上の高齢者が多く、繊維化や炎症の程度の進んだケースが多く、長期投与に対する副作用も強く治療上大きな問題となっています。
C型肝硬変であっても、IFN治療が有効なケースがあり、ウイルス排除を目的に、排除が不可能な場合はがんへの進展を遅らすために、IFNアルファ製剤、ベータ製剤の使用が試みられております。肝癌にたいしては、まだ研究段階ですが抗癌剤とIFNの併用が進行肝癌に有効であったという報告もあり、今後の発展が期待されます。
新しい医学の発展として、近年ウイルスの蛋白合成を阻害するプロテアーゼ阻害剤、ウイルスの核酸合成を阻害するRNAポリメラーゼ阻害剤などの新薬の治験が進んでおり、その効果はかなり良好とのことで、期待されています。ただこの治療も基本のペグインターフェロン+リバビリン治療に上乗せするものであり、新たな副作用も見られているようで、今後の最適な治療法の開発が待たれるところです。
一方、C型慢性肝炎においてはPeg-IFN療法が必須です。ウイルス量のすくない場合は単独でも著効が期待されますが、ウイルス量の多い場合はPeg-IFNとリバビリン併用療法が推奨されています。C型肝炎ウイルスの量とジェノタイプにより、24週から72週の治療が示唆されています。ガイドラインに従って、きちんと治療が行われても、難治性のI型高ウイルス量の症例の50%、全体の40%では治癒を得られません。このなかには、60歳以上の高齢者が多く、繊維化や炎症の程度の進んだケースが多く、長期投与に対する副作用も強く治療上大きな問題となっています。
C型肝硬変であっても、IFN治療が有効なケースがあり、ウイルス排除を目的に、排除が不可能な場合はがんへの進展を遅らすために、IFNアルファ製剤、ベータ製剤の使用が試みられております。肝癌にたいしては、まだ研究段階ですが抗癌剤とIFNの併用が進行肝癌に有効であったという報告もあり、今後の発展が期待されます。
新しい医学の発展として、近年ウイルスの蛋白合成を阻害するプロテアーゼ阻害剤、ウイルスの核酸合成を阻害するRNAポリメラーゼ阻害剤などの新薬の治験が進んでおり、その効果はかなり良好とのことで、期待されています。ただこの治療も基本のペグインターフェロン+リバビリン治療に上乗せするものであり、新たな副作用も見られているようで、今後の最適な治療法の開発が待たれるところです。
C型肝炎とインターフェロン治療
疾病の治療は、有効性、安全性が高く、肉体的、経済的に負担の少ないものが望まれます。IFN治療は有効性がかなり期待され、安全性も注意深い観察にて一般診療所でも通院治療ができるようになりました。肉体的な負担は、Peg-IFNになり、通院回数も減り、自覚的副作用はかなり楽になりました。費用についてもC型肝炎のインターフェロン治療に対して、公費による助成がされていますのでかかりつけの医師または保健所に相談されると良いでしょう。IFN治療はつらい治療で治らなかったという友人の話で躊躇されている方は多いと思いますがC型肝炎の患者様は、一度は受けるべき治療です。時期を失しないうちに検査を受けられるようおすすめします。