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ホーム > 健康コラム > 下痢症・便秘症・過敏性腸症候群

下痢症・便秘症・過敏性腸症候群


緊張を強いられる時、おなかの調子が悪くなる。通勤・通学時、駅に降りてトイレに駆け込む。会社・学校へ行く日の昼食後、おなかの調子が悪くなる。こんな症状はありませんか?

過敏性腸症候群(IBS)とは

腸そのものには原因となる異常が見つからないのに腹部症状(腹痛・腹部膨満感・腹鳴・ガス貯留感)を伴う便通異常(下痢・便秘)が続く病気です。

下痢症とは、排便回数が1日に3回以上ある・軟便または水様便・急激な便意があるものをいいます。
また、便秘症とは、排便回数が週に3回以下・硬便または兎糞状便・排便困難な状態をいいます。
過敏性腸症候群の症状(下痢型・便秘型・交代型)としては、腹痛・残便感・粘液の排出・腹部膨満感・腹部膨満・腹部膨隆などがあげられ、排便によって症状が改善するのが特徴です。
排便異常が続くと、腹満感や腹痛、おなら、食欲低下、肌荒れや吹き出物、頭痛や肩こり、イライラする、口臭が気になる、寝付きが悪くなるなどの症状もあらわれてきます。

下痢や便秘は日常よくみられる症状であるため、「たかが便秘」「下痢くらいすぐにおさまる」などと考えられがちですが、持続するこれらの症状は大変苦痛であるばかりか、仕事や勉学に多大な影響を及ぼしているとおもわれます。
一般的には若年層から中年層に多い疾患と考えてられていますが、現代社会は老年者もストレスは多く存在し、老年者の症候群も多くみられます。

過敏性腸症候群(IBS)の臨床症状

1 何週間も下痢や便秘が続いている
2 よく腹痛や腹部膨満感(お腹の張り感)に悩まされる
3 急に下痢でお腹が痛くなり、トイレに駆け込むことがよくある
4 排便で腹痛が和らぐ
5 下痢と便秘を交互に繰り返す
6 排便の後、残便感がある
7 便秘がちで、ウサギの糞のようなコロコロした便がでる

下痢と便秘

下痢と便秘の患者数推移

下痢と便秘(水分量)

厚生労働省の調査によると、下痢は小・中学生頃から社会人(働き盛りの年齢)に多くみられ、便秘は中高年~老年に多いことがわかっています。これらの結果から見ても、腸に及ぼすストレスは生活環境が大きくかかわっているということがわかります。

下痢の年代別患者数

便秘の年代別患者数

排便異常の原因となる様々なストレス

ストレスによる緊張状態(交感神経優位)は、快便の大敵です。
仕事上・学業上の問題、家族の問題などの精神的なストレスや、過労・不規則な食生活・運動不足・嗜好品や薬物などの身体的なストレスが誘因となって症状を引き起こします。海外旅行や引っ越しなど急激に生活環境が変わることもストレスになる場合があります。

IBSの発症・憎悪因子

ストレスにより下痢、便秘、膨膜炎などの排便異常を起こしやすくなります

近年の食事について

脂肪摂取の増加がもたらすもの

日本食の基本は「穀類+大豆+野菜+魚介類」であり、日本人は米をはじめとする炭水化物が主成分の穀物に支えられて来ました。しかし、戦後、日本人の食生活は一変しました。昔ながらの日本食の特徴であった炭水化物の割合が減少しつづけ、食生活の欧米化が進み、脂質や動物性タンパク質の摂取量が年々増加しています。

栄養素等摂取量の年次推移

日本人の熱量摂取量と脂肪摂取量

プロバイオティクス(ビフィズス菌)の減少

食事による腸内細菌(ビフィブス菌)への影響

腸内細菌叢は、ヒトの一生を通して一定の変動を示すことがわかっています。 出生後数日間は、好気性菌である大腸菌や腸球菌などが優勢ですが、1週間ほど経つと、母乳や人工乳に含まれる乳糖などのビフィズス増殖因子の影響などにより、善玉菌の代表であり、嫌気性菌であるビフィズス菌が最優勢となります。

離乳食を経て成人の食生活に移行するのに伴い、バクテロイデス・ユウバクテリウムなどの嫌気性連鎖球菌が最優勢となり、ビフィズス菌がこれらに続く形となって優勢菌群を形成し、このまま中年期まで安定しますが、老年期に入り、悪玉菌の一つであるウェルシュ菌などが増殖して来ます。こうして、腸内細菌叢の「老化」が進行します。つまり、ビフィズス菌が減少し、悪玉菌が優勢になるのは、言わば「腸内細菌叢の老化現象」なのです。悪玉菌の天下となった腸内では腐敗が進行し、有害物質がさかんに生産されます。年をとると便のにおいがきつくなるのはこのためです。

有害物質は血液によって全身に運ばれ、体の老化をますます促進させます。

プロバイオティクスの働き

  1. 病原菌や酵母菌の増殖を抑制する(乳酸、H2O2、バクテリオシンの産生)
  2. GALTを抑制し慢性炎症性免疫反応を低下させる
  3. 栄養素の消化を助ける酵素(ラクトースなど)を分泌する
  4. 血中の白血球や抗原特異抗体を上昇させ、分泌IgAを増加させる
  5. 短鎖脂肪酸を産生し腸管のエネルギー源となり、腸管の再生を促し大腸ガンの発生を抑制する
  6. IBSの発症を抑える
  7. ビタミン(VB,VA,VK)を産生する
  8. 抗がん作用がある(低pH,免疫能の亢進、病原体の排除)

腸内細菌叢の年次推移

食物繊維の役割

  1. 便の量を増やし、腸の運動を亢進させる
  2. コレステロールの再吸収を阻害し、善玉菌を活性化させる
  3. 善玉菌を増やして免疫力を高める
  4. 少量の食事でも満腹感をもたらす
  5. 食後の急激な血糖上昇を抑制する
水溶性植物繊維 不溶性植物繊維
植物性食品 果実、野菜(可溶性ペクチン)
大麦、きのこ(グルカン)
こんにゃく(グルコマンナン)
海藻(アルギン酸)
穀類、野菜(セルロース)
穀類(ヘミセルロースA、C)
不溶性ペクチン(野菜)
ココア、豆類、根菜類(リグニン)
植物性食品 軟骨、ふかひれ(コンドロイチン硫酸) カニやエビの甲殻(キチン・キトサン)
ふかひれ(コラーゲン)

過敏性腸症候群の治療

食事と日常生活の指導とともに、症状に合わせた治療薬が処方されます。
  1. 食物繊維たくさん食べましょう(一日25グラム以上)
  2. 乳酸菌、ビフィブス菌を多く含んだ食品を摂取しましょう
  3. 1日30分以上のウォーキングや運動をしましょう
  4. ぐっすり睡眠をとりましょう
  5. ストレス解消法をみつけて実践しましょう
  6. 薬物療法
    (症状に合わせて根気よく続けるのがポイントです)


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