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ホーム > 健康コラム > 潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎・クローン病


炎症性疾患と呼ばれる潰瘍性大腸炎とクローン病は、「難病」として厚生労働省の特定疾患に指定されています。両疾患ともに患者数は増加しており、今後も増えていくことが予想されています。自分の病気とその治療をしっかりと理解し、適切な治療をきちんと継続していくことが「病気とうまく付き合う」ためにもっとも重要なことになります。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症が生じて、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、下痢、粘血便、腹痛や発熱などの症状が出現する大腸の炎症性疾患です。これらの症状が悪くなることを「再燃」といい、よくなることを「寛解」といいます。この「再燃」と「寛解」を繰り返すことが多いのが特徴で、原因はまだ解明されていません。
大腸の炎症の程度や範囲、経過や重症度はさまざまですが、近年の治療の進歩により大半の方は症状をコントロールでき、普通の生活ができています。

潰瘍性大腸炎は大腸癌になりやすいか?

すべての方に発生率が高いというわけではなく、全結腸型で発病後8年以上経過している方ががんができやすいと報告されています。
大腸炎の経過観察とともに年に一度の大腸カメラ検査をおすすめします。

遺伝はするの?

遺伝的な要素がないわけではありませんが、遺伝する可能性は極めて少ないので心配はありません。

完治するの?

根治療法がない現在では「完治」という表現はできません。そのため「寛解を維持できている」という表現が使われます。
長期間寛解期を維持されている方はたくさんいらっしゃいます。

症状がなくても大腸カメラはしなければいけないの?

定期的な内視鏡検査は必要です。
治療内容を変更するとき(薬を減量・中止するとき)など、採血データだけよりも直接大腸粘膜を観察し組織検査をすることは、病状を把握するために重要な判断材料となります。

潰瘍性大腸炎を発症していると風邪などのウイルスや細菌に感染しやすいの?

そのようなことはありませんが、治療によっては、ステロイドや免疫抑制剤を服用する場合もあります。免疫力を低下させる薬は大腸炎の症状を抑える働きをするのですが、その反面感染しやすい状態を作ります。日常的に手洗いやうがいなどをして感染予防を心がけてください。もし発熱などあった時には早めに受診をして治療を受けましょう。

緊急時の対応策

急激な腹痛や大量出血があった場合は、穿孔(腸管に穴が開く)や中毒性巨大結腸症(結腸が異常に拡張して戻らない)などが疑われますのですみやかに受診してください。
災害時などの緊急時には通院や主治医との連絡が難しくなるかもしれません。
服用されている薬を常に把握し、常備しておくのもいいかもしれません。

合併症について

腸管に起こるかもしれない合併症
大出血・中毒性巨大結腸症・穿孔・炎症性ポリポージス・狭窄・がん

腸管以外に起こるかもしれない合併症
口内炎・結節性紅斑、結膜炎、関節痛、関節炎、膵炎、肝機能障害、貧血 など

日常生活について

  • 規則正しい生活をしましょう。睡眠不足や過労は禁物です。
  • 低脂肪で消化の良いものをバランス良く食べましょう。
    米飯・煮込みうどん・パン・おかゆ・白身の魚・大豆食品・卵など
  • アルコール、炭酸飲料、香辛料は控えたほうがいいでしょう。
  • 症状が安定していればスポーツもOKです。

治療薬と治療法について

潰瘍性大腸炎はクローン病とともに治療ガイドラインが示されています。
そのガイドラインを基にして、病変部の広がり方や重症度、炎症が活動期か寛解期かによって、治療薬を使い分けたり組み合わせたりします。
薬の使用方法は経口・注腸・坐薬・点滴などがあります。
基本は5-ASA経口剤メサラジン(ペンタサ)・サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)を経口投与し、必要であれば局所に使う薬としてペンタサ注腸・ステロイドの注腸なども併用します。潰瘍性大腸炎の場合、直腸とS状結腸の炎症が多いので局所的に抑える注腸は有用な療法です。
症状によっては、ペンタサやサラゾピリンとともに副腎皮質ステロイド(プレドニン)を経口投与したり点滴をする場合もあります。
他には、免疫抑制薬メトトレキサート(メソトレキサート)の投与や白血球除去療法(血液透析のようなもの)などがあります。
 
潰瘍性大腸炎のような、慢性の炎症性の腸疾患の場合は長期に薬を服用することになります。
寛解期の維持で用いられる薬の量と服用期間には意味があります。正しく薬を服用するということは、大腸の炎症を抑え、再燃を予防し、病気の進展を抑制し、重大な合併症を予防することにつながります。
主治医の治療計画を十分理解するとともに薬の副作用など不安なことは遠慮なくご相談ください。

クローン病

クローン病とは、ニューヨークの医師であるクローンらが1932年に最初に報告したことからクローン病と呼ばれている病気です。潰瘍性大腸炎と違い、口から肛門まで消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が生じる可能性があります。原因はまだ解明されておらず、炎症が生じた部位は潰瘍となり、腹痛や下痢、血便などの症状が現れます。
病状は活動期(症状がある時)と寛解期(症状が治まった時)を繰り返します。
この経過の中で腸管が硬くなったり狭くなったり、腸管に孔が開いて腸管と腸管がつながったり、腸管と皮膚がつながったりすることがあります。肛門周囲膿瘍(肛門周囲に膿がたまる)や、痔ろう(直腸と肛門周囲に孔がつながる)が出現することもあります。
薬による治療で症状が朝得られない場合は手術を行う場合も少なくありません。

クローン病の治療

腸管の炎症を抑えて寛解に向かわせ、栄養状態の改善をし寛解期を維持することが目的となります。基本的には内科的治療(栄養療法と薬物療法)がおこなわれ、内科的治療が効果がない場合は外科的治療がおこなわれます。

栄養療法について

食事は、ときに腸管を刺激して腹痛や下痢の原因になったり、病変そのものを悪化させてしまうことがあります。栄養療法は栄養状態の改善をはかりながら腸管を安静にし、腸管の炎症も抑えます。
活動期の栄養療法には、経腸栄養法や中心静脈栄養法がおこなわれ、寛解維持療法としては在宅経腸栄養法(エレンタールなど)がおこなわれます。

治療薬と治療法について

クローン病は、潰瘍性大腸炎とともに治療ガイドラインが示されています。
そのガイドラインを基にして、病変部の広がり方や重症度、炎症が活動期か寛解期かによって、治療薬を使い分けたり組み合わせたりします。
薬の使用方法は経口・注腸・坐薬・点滴などがあります。
基本は5-ASA経口剤メサラジン(ペンタサ)・ サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)を経口投与し、必要であれば局所に使う薬としてペンタサ注腸・ステロイドの注腸なども併用します。潰瘍性大腸炎の場合、直腸とS状結腸の炎症が多いので局所的に抑える注腸は有用な療法です。
症状によっては、ペンタサやサラゾピリンとともに副腎皮質ステロイド(プレドニン)を経口投与したり点滴をする場合もあります。
他には、免疫抑制薬メトトレキサート(メソトレキサート)の投与や白血球除去療法(血液透析のようなもの)、抗TNF-α抗体製剤(レミケード)の点滴静脈注射による治療などがあります。
 
クローン病などの、慢性の炎症性の腸疾患の場合は長期に薬を服用することになります。
寛解期の維持で用いられる薬の量と服用期間には意味があります。正しく薬を服用するということは、大腸の炎症を抑え、再燃を予防し、病気の進展を抑制し、重大な合併症を予防することにつながります。
主治医の治療計画を十分理解するとともに薬の副作用など不安なことは遠慮なくご相談ください。
  1. 5-アミノサリチル酸:メペンタサ・サラゾピリン
  2. 副腎皮質ステロイド剤:プレドニン
  3. 抗菌剤:フラジール・シプロキサン
  4. 免疫調節剤:イムラン・アザニン・ロイケリン
  5. 抗TNF-α抗体製剤:レミケード点滴静注用100

参考資料

「潰瘍性大腸炎の正しい知識と理解」別冊~緩解期に入ったら~
「潰瘍性大腸炎の正しい知識と理解」第2版
「潰瘍性大腸炎の正しい知識と理解」Q&A
監修:慶応義塾大学医学部内科 教授 日比 紀文

クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識
難治性炎症性腸障害に関する調査研究班(渡辺班)

クローン病の新しい治療「レミケード」について
監修:(財)田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター部長 伊藤 裕章
  
クローン病に対するレミケードの維持療法
田辺三菱製薬

「エビデンスとコンセンサスを統合した潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン」
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 プロジェクト研究グループ 2006年1月

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