胸やけやのどの違和感が続くときに
「食後に胸が焼けるような痛みがある」「酸っぱい液体が口まで上がってくる」「のどに何か引っかかる感じがする」
このような症状がある場合、逆流性食道炎(GERD)の可能性があります。逆流性食道炎は、胃の内容物や胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激することで起こります。
近年、日本では食生活の変化などにより、逆流性食道炎の患者さんが増えています。
現在の日本では、患者さんの割合は6~30%と報告されています。
日本では、若い世代ではピロリ菌に感染している人が少なく、また高齢者では除菌が進んでいることから、胃酸の分泌が増えやすくなっています。
そのため、今後さらに逆流性食道炎の患者さんは増えると考えられています。
特に高齢者では、脊椎の圧迫骨折などで背中が曲がることによって、食道裂孔ヘルニアが起こりやすくなります。こうした状態は、胃酸が逆流しやすくなるため、病状が悪化する要因になります。
逆流性食道炎の分類
日本消化器病学会では、胃食道逆流症(GERD)を以下のように分類しています。
びらん型胃食道逆流症
胃カメラで粘膜障害が認められるもの。ロサンゼルス分類に基づき、GERD-A、B、C、Dに分類されます。
非びらん型胃食道逆流症(NERD)
胃カメラで粘膜障害が認められないもの。GERD-MやNERDとも呼ばれます。
逆流症状を訴える患者さんのうち、約40%がびらん型、約60%が非びらん型(NERD)です。さらに、日本人のびらん型胃食道逆流症の90%は軽度のGERD-AまたはBに該当します。つまり、日本では逆流症を訴える多くの患者さんが、軽度のびらんまたはびらんを認めない病態であることがわかります。
このため、治療においても、こうした病態の特徴を考慮した適切な対応が望まれます。
逆流性食道炎のしくみと病態
胃酸の分泌と胃食道接合部(下部食道括約筋)のゆるみ
脂肪分の多い食事や辛い食べ物(カレーやスパイスの強い料理など)を多くとると、胃酸が過剰に分泌されます。特に中年以降の方は、胃食道接合部にゆるみが生じ、胃酸が逆流しやすくなります。
このため、胃酸が食道に逆流し胸やけや胃の痛みなどの症状が出やすくなります。
また、食道粘膜知覚過敏の方は、胃酸刺激を過剰に感知し、胸やけ、胃痛などを感じてしまいます。
高齢者ではさらに逆流しやすくなる
高齢になると、背中の骨の変形(脊椎の圧迫骨折など)で背中が曲がることがあります。
すると、胃の一部が食道の穴を押し上げる形になり、食道裂孔ヘルニアが起こります。
この状態では、胃酸が常に逆流しやすくなり、症状が悪化することがあります。
高齢の方には特に強力な酸分泌抑制剤が必要となります。
主な症状
症状は出現頻度の高い順に列記しました。
- 胸のあたりが熱く、ひりひりとしみるような胸やけ症状
- すっぱいものがこみ上げる
- 食べ物を飲み込むときのつかえ
- 食べ過ぎた時や脂っこいものを食べた時に不快感がある
- のどのイガイガが継続し咳が出る
- 声がかすれる
検査と診断
逆流性食道炎(胃食道逆流症)の診断は胃カメラ検査にて行います。
症状から一時的に治療を開始された場合も、数カ月間以上のお薬が必要な場合は、必ず一度は内視鏡検査を実施してください。
治療方法
お薬には主に「胃酸の分泌を抑える薬」「食道の運動機能を改善する薬」「食道の粘膜を保護する薬」「胃酸を中和する薬」の4種類があります。
| お薬の種類 | 働き | |
|---|---|---|
| ①酸分泌抑制薬 | PPI P-CAB |
胃壁細胞のプロトンポンプに働き、胃酸の分泌を抑えます。 |
| H₂ブロッカー | 胃壁細胞H₂受容体に働き、胃酸の分泌を抑えます。 | |
| ②消化管運動機能改善薬 | 逆流した胃酸を胃に押し戻します。 また、胃の運動を改善して胃からの排出を促進します。 |
|
| ③粘膜保護薬 | 食道粘膜の傷口に働き、胃酸による傷害を防ぎます。 | |
| ④制酸薬 | 胃酸を中和します。 | |
生活習慣の工夫
①食事と嗜好品の注意~大食いを避け、嗜好品は控えめに~
②姿勢の注意~昼間の姿勢・就寝時の姿勢~
- 前かがみの姿勢を避けましょう。
- 食後、すぐに寝ないようにしましょう。
- 就寝時に頭側を少し高めにしましょう。
- 就寝時は左側を下に寝ましょう。
(食道が胃の上側になります)
③おなかの圧迫への注意~締め付けない~
- ベルトや帯、コルセットはゆるめにし、お腹を締め付けないように注意しましょう。
受診の目安
- 胸やけやのどの違和感が数週間以上続く
- 食後の胸の痛みや酸の逆流が頻繁にある
- 咳や声のかすれ、のどの痛みを伴う
- 胸の痛みが強く、心臓の症状と区別がつかない場合
症状が続く場合は、早めに医療機関で相談することが安心につながります。

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