アルコール性脂肪肝・MASLD(代謝機能異常関連脂肪肝疾患)について
脂肪肝とは、肝臓の細胞に中性脂肪が過剰にたまった状態をいいます。
健康診断や人間ドックの腹部エコー、血液検査で指摘されることが多く、初期にはほとんど自覚症状がありません。
脂肪肝は大きく「アルコール性脂肪肝」と、「MASLD(代謝機能異常関連脂肪肝疾患)」の2つに分けられます。
近年はお酒をあまり飲まない方でも、生活習慣や代謝異常によって脂肪肝になる「MASLD」が増加しています。
放置すると炎症が進行し、肝炎(MASH)→肝硬変→肝がんへと悪化することがあるため、早めの対策が大切です。
主な原因
【1】アルコール性脂肪肝
お酒に含まれるアルコールは肝臓で分解されますが、その過程で脂肪の代謝が抑えられ、肝臓に脂肪がたまりやすくなります。 飲酒量が多い方、長年飲酒を続けている方は注意が必要です。
- 日本酒で1日1合以上を毎日飲む
- ビールで中瓶1本以上を毎日
- 焼酎・ウイスキーを毎晩晩酌する
といった習慣が続くと、アルコール性脂肪肝を発症するリスクが高まります。
飲酒をやめれば改善することが多いですが、放置するとアルコール性肝炎や肝硬変に進行することもあります。
【2】MASLD(代謝機能異常関連脂肪肝疾患)
以前は「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」と呼ばれていましたが、2023年に国際的に名称がMASLD(マスルド)へ変更されました。
これは、アルコールが原因でなくても代謝異常や生活習慣の乱れによって脂肪肝が起こることを反映した新しい概念です。
MASLDの主な原因は以下のとおりです。
肥満・内臓脂肪の増加
食べすぎや運動不足で余ったエネルギーが肝臓に蓄積
糖尿病・脂質異常症・高血圧
代謝バランスの乱れによって脂肪の分解が低下
糖質・甘い飲み物のとりすぎ
炭水化物や清涼飲料水の過剰摂取が肝脂肪を増やす
やせ型でも発症する場合あり
遺伝や筋肉量の低下なども関与
薬剤やホルモンの影響
ステロイドやエストロゲン製剤なども原因となることがあります
MASLDが進行し炎症を伴うと「MASH(代謝機能異常関連脂肪肝炎)」となり、肝臓が硬くなっていく(線維化)リスクが高まります。
主な症状
初期の脂肪肝はほとんど症状がありませんが、進行すると次のような不調がみられることがあります。
- 体のだるさや疲れやすさ
- 食後の胃の重さ、張り感
- 右上腹部(肝臓の位置)の違和感
- 健診で「肝機能異常」や「脂肪肝」を指摘された
検査
血液検査と腹部エコーで脂肪肝の有無や進行度を確認します。
- 血液検査:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの肝酵素をチェック
- 腹部エコー検査:脂肪が多い肝臓は白く見えるため、程度を把握できます
- 必要に応じて:MRIや肝線維化マーカーなどで炎症や線維化の進み具合を確認
治療・生活改善
脂肪肝は、生活習慣の見直しで十分に改善が期待できる病気です。
食事
カロリーを抑え、脂っこい料理や糖質・甘い飲み物を控える
野菜・魚・豆類などバランスの良い食事を心がける
運動
1日30分のウォーキングなど、無理のない有酸素運動を継続
体重管理
体重を5〜10%減らすことで肝臓の脂肪が減少します
飲酒制限
アルコール性の場合は断酒、MASLDでも肝機能悪化を防ぐため控える
生活習慣病の治療
糖尿病・高脂血症・高血圧の治療を継続し、肝臓への負担を軽減
受診の目安
次のような方は早めの受診をおすすめします。
- 健診で「脂肪肝」「肝機能異常」を指摘された
- 飲酒量が多い、または不規則な食生活が続いている
- 体重が増加傾向にある
- 糖尿病・脂質異常症・高血圧を指摘されている
- 最近、体が重い・疲れやすい
脂肪肝は、初期のうちは症状がないものの、進行すると肝炎・肝硬変・肝がんにつながる可能性があります。
健診で指摘された段階で生活を整えることで、肝臓は健康を取り戻すことができます。
アルコール性・MASLDのどちらのタイプでも、早めの検査と生活改善が重要です。

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